教師の休日出勤を、代休だけで終わらせないために
#012
学校では、土曜日に行事が入ることがあります。
オープンハイスクール。
学校説明会。
部活動の大会。
地域との行事。
学校という場所は、平日だけで完結しません。
だから、教員が土曜日に出勤する場面もあります。
その場合、多くは後日、代休を取ることになります。
土曜日に働いた分を、別の平日に休む。
書類上は、それで帳尻が合っているように見えます。
でも、学校現場で働いていると、そう単純ではないと感じます。
代休があることと、実際に休めることは違います。
ここを分けて考えないと、教員の働き方はなかなか変わりません。
代休はある。でも休めない
教員は、平日に授業を持っています。
これはとても大きいです。
代休を取ろうとしても、自分が休めば、その日の授業をどうするかを考えなければいけません。
時間割を入れ替える。
ほかの先生に授業をお願いする。
自習課題を用意する。
クラスや学年に連絡する。
一日休むだけでも、その前後に調整が発生します。
テスト前であれば、授業を飛ばしにくい。
行事前であれば、準備が止めにくい。
学級の状態が落ち着いていなければ、なおさら休みにくい。
その結果、代休はあるのに使えない。
休む権利はあるのに、休むタイミングがない。
こういうことが、学校では普通に起きています。
だから、休日出勤の問題は「代休を付ければいい」という話では終わりません。
本当に考えるべきなのは、教員が実際に休める状態になっているかどうかです。
まず年休を取れる職場にする
代休の前に、まず見直したいことがあります。
年次有給休暇です。
そもそも年休すら取りにくい職場で、代休だけを増やしても、休めない日が積み上がっていくだけです。
「休暇の日数」はある。
でも「休める空気」と「休める仕組み」がない。
これでは、制度があっても現場は変わりません。
大切なのは、休暇を用意することではありません。
休暇を取れるようにすることです。
そのためには、教員個人の努力だけでは足りません。
休む人が気をつかいすぎなくてもいい体制を、学校全体で作る必要があります。
授業を止めない仕組みを作る
教員が休みにくい一番の理由は、授業です。
授業は毎日あります。
生徒も待っています。
だからこそ、教員が休んでも授業が完全に止まらない仕組みが必要です。
たとえば、学年や教科の中で、授業を補い合える形を作っておく。
オンライン教材や自習教材を、普段から少しずつ準備しておく。
同じ教科の先生同士で、進度や教材を共有しておく。
こうした仕組みがあるだけで、休みやすさはかなり変わります。
休む先生が毎回ゼロから説明しなくてもいい。
誰か一人に大きな負担が偏らない。
生徒にも大きな混乱が出にくい。
そういう状態を作っておくことが、代休を本当に使えるものにしていきます。
休日出勤を一部の先生に寄せない
もう一つ大事なのは、休日出勤そのものを増やしすぎないことです。
学校説明会やオープンハイスクールでは、つい「全員出勤」が当たり前になりがちです。
でも、本当に全教員の出勤が必要なのでしょうか。
もちろん、学校として丁寧に対応したい気持ちは分かります。
来校する中学生や保護者に、学校のよさを伝えたい。
部活動や授業の雰囲気を見てもらいたい。
そのために教員の協力が必要な場面はあります。
ただ、それでも見直せる部分はあるはずです。
担当を交代制にする。
参加する教員の人数を絞る。
午前と午後で分担する。
オンライン説明会を併用する。
受付や案内など、教員でなくてもできる仕事は外部スタッフに任せる。
行事の目的を守りながら、教員の負担を減らす方法はあります。
「これまで全員でやってきたから」だけで続けている仕事は、一度立ち止まって考えたほうがいいと思います。
代休は、先に決めておく
代休は、あとから考えるほど取りにくくなります。
休日出勤が終わってから、
「どこかで休んでください」
と言われても、なかなか休めません。
授業があります。
会議があります。
行事があります。
気づけば数週間が過ぎて、代休だけが残ってしまう。
これを防ぐには、休日出勤が決まった時点で、代休の日も一緒に決めておくことが大切です。
一日単位で休みにくいなら、半日や数時間単位で取れるようにする。
学年や教科の中で、休む予定を早めに共有する。
授業変更や教材準備も、早めに進める。
代休に期限を設けて、管理職が取得状況を確認する。
休暇を本人任せにしないことです。
「取れる人は取ってください」では、結局、まじめな先生ほど休めなくなります。
学校全体で管理しないと、代休は使われないまま残ってしまいます。
土曜日の時間は、平日に置き換えられない
休日出勤を考えるとき、勤務時間の合計だけを見てしまいがちです。
土曜日に働いた。
その分、平日に休んだ。
だから同じ。
数字だけを見れば、そう見えるかもしれません。
でも、時間には中身があります。
土曜日は、家族や子どもと予定を合わせやすい日です。
友人と会う予定を入れやすい日でもあります。
地域の行事に参加できる日でもあります。
平日に代休を取れたとしても、土曜日にしかできなかったことを取り戻せるとは限りません。
休日の時間は、ただの勤務時間の反対側にあるものではありません。
生活そのものです。
だからこそ、休日出勤は必要最小限にするべきです。
どうしてもお願いするなら、確実に休める体制までセットで考える必要があります。
休める学校は、子どもにとってもいい学校
休日出勤そのものが、すべて悪いわけではありません。
学校行事や地域とのつながりのために、土曜日の勤務が必要な場面はあります。
部活動の大会もあります。
保護者や地域の方が学校に来やすい日を考えると、土曜日に行事を行う意味もあります。
問題は、代休を付けたことで対応が終わったと考えてしまうことです。
本当に大切なのは、その代休を教員がちゃんと使えているかどうかです。
教員が年休や代休を取りやすい学校は、教員だけにとって働きやすい学校ではありません。
教員に余裕があれば、授業準備にも丁寧に向き合えます。
生徒への声かけも、少し落ち着いてできます。
保護者対応でも、必要以上に追い詰められずに考えられます。
教員の余裕は、子どもたちにも返っていきます。
だから、休める仕組みを作ることは、教育の質を守ることでもあります。
個人の我慢で終わらせない
目指したいのは、休日出勤をめぐって教員と管理職が対立する職場ではありません。
行事の必要性を共有しながら、教員の生活と健康も守れる職場です。
そのためには、感覚だけでなく、記録も必要です。
年休はどれくらい取れているのか。
休日出勤は誰に何回入っているのか。
代休は実際に使われているのか。
一部の先生に負担が偏っていないか。
こうしたことを、学校として継続的に確認する必要があります。
休めないことを、教員個人の責任にしてはいけません。
休める仕組みを作ることは、学校全体の仕事です。
休日出勤をお願いするなら、代休を付けるだけで終わらせない。
教員が本当に休めるところまで設計する。
そこから、学校の働き方は少しずつ変わっていくと思います。
あなたの学校では、年休や代休を取りやすくするために、どのような工夫をしていますか。
うまくいった事例があれば、ぜひ教えてください。
それではまた。





